人間は体と腕を鎖骨でつないでいます。
しかし、ワンちゃんの場合は鎖骨がありません。
では、ワンちゃんは何で体と腕(前足)をつなげているのでしょうか?
答えは「筋肉」です。
ワンちゃんは脚を前後左右に動きやすくするために鎖骨がありません。
その代わり、前肢帯筋という筋肉の集まりが首の付根辺りから直接ついています。
また、ワンちゃんは前足を踏ん張って状態を支えるため、胸筋群や後背筋などが発達しています。
あまり気に止める事も無いかもしれない「犬と人間の違い」。今回はワンちゃんの前足について学んでみましょう。
二の腕
ワンちゃんの二の腕はドコにあるのでしょうか?
実は、ワンちゃんには二の腕はありません。
私たちがワンちゃんの「前足」と認識しているのは肘から先の部分です。
二の腕部分は肋骨に密着している状態となっているため、ワンちゃんには二の腕が無いことになります。
私達の二の腕はある程度ひねる事が出来ますが、ワンちゃんには二の腕が無いため、ひねる行為は非常に不得意です。肋骨に密着していることから、前足を横方向に開くこともほぼ出来ません。
前述の通り、ワンちゃんは前足を筋肉で支えており、二の腕は肋骨に密着しているため両前足の付け根を持って抱え上げるのはワンちゃんに負担がかかります。抱っこする際はお気をつけください。
足
ワンちゃんの足先、実は人間で言うと指の部分です。
大きな肉球から親指(小さな肉球のある辺り)の部分が手のひらにあたります。
親指の部分は「第一指」と呼ばれ、歩行の際には全く使用されていません。
第一指についている肉球は「手根球」と呼ばれ、前足にのみ存在します。「手根球」は手根骨という指の付け根の関節を保護しており、「手根球」がある事で手根骨部分を何かにぶつけても骨折しにくくなります。
土踏まずと歩き方
人間には土踏まずがあります。土踏まずはバネの働きをするため、人間は足裏全体を地につけて歩きます。しかし、ワンちゃんには土踏まずが無く偏平足です。ワンちゃんは指先だけを地面に付けて体重を支えたり、歩いたりします。
人間のように足の裏全体を用いて歩く方向様式を「蹠行性(しょこうせい)」、ワンちゃんのように指先だけを地面に付けて歩く歩行様式を「趾行性(しこうせい)」といいます。
蹠行は足裏全体を地面付けるため、直立時の安定感があります。それに対して趾行は直立時の安定感が無いものの、高速移動が得意な歩行様式です。なお、趾行性の動物でも休息時には踵を地面に付けています。
爪
犬の爪は丈夫で固く、地面をしっかり引っ掻いて走るためのスパイクの役目を果たしています。
カーブを描くように丸まりながら伸びてきますが、猫と違って先端が尖っていないため木に登る事はできません。
犬の爪には人間同様赤い部分と白い部分が見えますが、赤い部分には神経と血管が通っているため爪切りの際は注意が必要です。
外を走り回っているワンちゃんの場合は、自然と爪が削れるため爪切りの必要はありません。しかし、室内で過ごす事の多いワンちゃんの場合は爪切りが必要になる可能性があります。トリミングの際にトリマーさんにチェックしてもらいましょう。
肉球
ワンちゃんの肉球はコラーゲン繊維や弾性繊維、脂肪などが入っていて衝撃吸収材の役割があります。
肉球は犬の体の中で唯一、汗を出す事ができる場所です。汗で肉球を湿らせることで、滑り止め効果を発揮しています。
肉球には様々な色がありますが、基本的には年齢を重ねるうちにだんだんと黒く硬くなっていきます。
肉球は他の皮膚組織と比べると再生能力に劣っているため、傷が出来た場合は破傷風等のリスクがあるため、念の為に獣医さんに診てもらう事をおすすめします。
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